冷徹狼陛下の子を授かりました!
 挨拶をしながら入ってきたリリアンが、レオンの姿を見て怯えていた。マリアがレオンに視線を向けると、ただニコニコと微笑んでいる。

「おはよう。どうしたの?」
「い、い、いえ。朝食の準備が整いました。へ、陛下がお、お待ちです」
「ええっ⁉」

 リリアンから告げられた言葉に、今度はマリアが驚きの声を上げた。

「陛下と会えるんだ! マリア行こう!」

 レオンは無邪気に喜んで、マリアの手を掴み駆け出そうとする。

「ちょ、ちょっと待って!」
「どうしたの?」
「こ、心の準備が」

 その時、レオンから心の声が聞こえてきた。

『そろそろ敵を排除しなきゃな……』

「ええ⁉」
「ん? どうしたの?」
「……あの、えっと」

 レオンはキョトンとした顔でマリアを見ている。そのあどけない表情と、今聞こえてきた心の声とのギャップがありすぎて、マリアは戸惑っていた。

 レオンのいう敵とは誰のことを言っているのだろうか?

 そもそも、本当にレオンから聞こえた言葉なのかと疑う黒さだ。
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