冷徹狼陛下の子を授かりました!

-6-

 朝食が終わると、いつもレオンがマリアを部屋まで送ってくれる。

 それは毎食のことで、レオンにお世話されているといっても過言ではない。本来はマリア担当のリリアンの仕事だが、レオンがいると近寄って来ないのだ。

「じゃあ僕行くね」
「忙しいのにいつもありがとう」

 名残惜しそうに部屋を後にするレオンは、毎日スケジュールがパンパンに埋まっている。跡継ぎとしての教育を受けているのだ。

 ウルフリア王国での生活に少しずつ慣れてきて、すっかり忘れていたエドワードの存在。

 ただ冷徹なのだと思い込んでいたら、甥っ子であるレオンを大切にしている。レオンがマリアのことをママと呼ぶことに驚いていたが、反対することはなかった。

 レオンが去った部屋で一人になると、ふと先ほどのことを思い出す。

 リリアンが呼びに来て話が途中で終わってしまったが、今夜マリアがウルフリア王国へ来てから初めての満月の夜ではないか……

 レオンの様子はいつもと変わりなかった。
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