冷徹狼陛下の子を授かりました!
 いつもと違うことと言えば、エドワードが朝食に現れたこと。満月の日と何か関係があるのだろうか。

 レオンがいなくなると、日中はほぼ一人で過ごしている。それはブルネリアにいた時から一緒で、マリアは一人に慣れていた。

 ブルネリアでは、唯一の味方のハンナがいたが、ハンナにも仕事がある。幼い頃は、ハンナが用意してくれた教科書で、一人で勉強していた。

 いつからか、ブルネリア家の妻エラがするべき仕事の一部を押しつけらる。エラは、着飾って見栄を張るのが生き甲斐で、細々とした伯爵夫人の仕事を嫌がった。その代わりをマリアがしていたが、マリアがいなくなったブルネリア家はどうなっているのだろう……

 エラがしているとは、到底思えなかった。

 懐かしい思い出に浸っていると、ハンナのことが心配になる。いつか、ウルフリア王国へ来てほしい。ハンナを呼び寄せることができるように、マリア自身がこの国のことを学ぶ必要があると思い至った。

 エドワードと突然の政略結婚だったとしても、マリアはウルフリア王国の王妃として世間からは見られている。期待はされていないかもしれないが、自分のできることをしようと決心した。
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