冷徹狼陛下の子を授かりました!
 サイズの合っていない服の下は、素晴らしいスタイルを隠していた。マリアンヌは、採寸するたびに感嘆の声を上げていたが、マリアは意味がわからない。とにかく、終わるのをじっと突っ立って待つだけだ。

「お疲れ様でした。無事に終わりました。早速、製作に取りかかります。ご希望はございますか?」
「い、いえ……」

 どうして急に採寸されたのかもわからないのに、希望なんてあるはずもなく……

「安心して、わたくしにお任せ下さいませ」

 何が楽しいのか、マリアンヌは上機嫌で部屋から出て行った。

 その後も、鞄や靴、小物に至るまで、商人がやってきて説明をして帰って行く。

 最後の客が立ち去った後、あまりに突かれてソファへ倒れ込んだ。

「一体、何がどうなってるの?」

 問いかけても誰も答えてくれるはずがなく、マリアの声が部屋に虚しく響く。

 後日、大量に届いた商品がマリアの部屋へ次々に運び込まれた。

 リリアンをはじめとした使用人達が、羨まし気に商品を見ながら片づけている。
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