冷徹狼陛下の子を授かりました!
「ねえ、このアクセサリー見て」
「素敵ね」
「高そう。一つぐらいなくなってもバレないんじゃない?」

 部屋の奥の衣装部屋でコソコソと話しているが、マリアまで聞こえていた。

「……」

 ここは注意するべきだろうけど、揉めたくはない。リリアンに至っては、マリアの侍女だ。考え込んでいるマリアの横を、一瞬何かが駆け抜けた。

「おい!」
「ひいぃ……」
「きゃああ」
「すみません、すみません」

 正体はレオンで、三人を威嚇している。怯えた様子で、腰を抜かしていた。

 ――コンコン

 レオンが入ってきた時に、開けっ放しになっていた扉を軽くノックしたマテオが入ってくる。

「遅くなりました」
「はあ……」

 マリアだけが状況がわかっていない。

「こっち」

 レオンが衣装部屋からマテオを呼んでいた。マテオが来たことを確認したレオンが低い声で詰め寄る。

「ほら出せ」
「「「……」」」
「隠しても無駄だ」
「皆さんの悪事の証拠はすでに集まってます。今さら足掻いてもどうもなりませんよ」
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