冷徹狼陛下の子を授かりました!
 レオンの優しさに胸が熱くなった。

「それにしても困りましたね」
「え?」
「急に侍女がいなくなったので、困りますよね? ご希望はございませんか?」
「その事なんですが」
「なんでしょう?」
「ブルネリアの実家に、私を育ててくれた恩人がいるんです。今、あの家でどうしてるか心配で」
「お名前は?」
「ハンナです」
「わかりました。陛下に相談してみます」
「本当ですか? ありがとうございます」

 いつかきっと、ハンナを呼び寄せたいと思っていた願望が、少し近づいたかもしれない。

 ここには、マリアの意見を聞いてくれる人達がいるのだ。

 ブルネリアでは淡々と過ぎていた日々が、ウルフリアに来てからは未来を思い描いている。

 そこには、エドワードがいてレオンがいて、マリアと三人の家族像があった――
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