冷徹狼陛下の子を授かりました!
 レオンは狼の時だけだが、エドワードは自分でコントロールできるのかもしれない。

 聞こえてもいいことばかりでないことは、長年経験してきた。知らなくていいことの方が多い。

 朝食を終えるとレオンがいない一人の時間が訪れる。城の雑務もかなり任されるようになり、毎日充実した時間を送っていた。

 ――コンコン

 マリアの部屋に誰かが訪ねて来ることはあまりない。

「はい」
「失礼します。今、お時間大丈夫ですか?」
「はい。なにかありましたか?」
「ご相談があって参りました」

 現れたのはエドワードの側近のマテオ。急ぎの仕事はなかったはずだ。いつも仕事をしているテーブルから、ソファへ移動して向かいあって座る。

「相談ですか?」
「はい。今度、皇帝陛下の生誕祭が皇城で催されます」
「……はい」

 もうそんな時期になったのかと、月日の流れの速さを実感する。
< 43 / 63 >

この作品をシェア

pagetop