冷徹狼陛下の子を授かりました!
 そういえば毎年、義母と義妹が大騒ぎしていたことを思い出した。ドレスやアクセサリーで、見栄を張って必死になっていた姿が目に浮かぶ。父は人脈を広げることに必死で、伯爵家の金をばらまいていた。とにかくプライドが高く見栄っ張りな三人で、傲慢だった印象しかない。

 マリアは連れて行ってもらったことはないが、行きたいとも思ったことがなかった。ただ、誕生祭の後の債務処理に毎年うんざりしていたことは覚えている。

「ご出席されたことはありますか?」
「……いえ」

 マリアの返事を聞いて、今度はマテオが驚いた。マリアのことを調べても、曖昧なことが多い。まるでブルネリア家には存在しなかったかのようだった。

 それでも、伯爵家の娘なのだから生誕祭には必ず出席するはず。それすらも叶わなかったということは、どれほど冷遇されてきたのだろうかと、マテオでさえ怒りを覚える。

 マリアが来てから、ウルフリア王国はいいことばかりだ。

 手を焼いていたレオンが穏やかになり、使用人達の負担もかなり軽減された。しっかりしているとはいえ、まだまだ甘えたい年頃の子供。マリアに甘えるレオンを見ると、年相応で安心する。
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