冷徹狼陛下の子を授かりました!
 ハンナの名前が出て、マリアは明るい表情になる。

 父や義母、義妹と会いたくはないが、いつかどこかで会うことになるならいい機会だと思えた。ブルネリア家に未練はないし、今が幸せなのだから……

「生誕祭に必要なものはこちらで揃えさせていただきますので」
「それは助かります」

 義母と義妹の準備の様子を知っているだけに、そこが一番の不安だった。

「他に何かあればお申し付けください」
「ありがとうございます。あの……」

 マリアは肝心なことを聞き忘れていた。

「ご不明な点でも?」
「そもそも、エドワード殿下は私が同伴で納得されてるのでしょうか?」

 満月の夜を共にしているが、会話は一切ないのだ。不思議なことに、それでも困ることがない。

「その事でしたら、問題ありません!」

 自信満々に答えるマテオ。その根拠を知りたい。

「どうして断言できるんですか?」

 私から出た疑問の言葉に、よくぞ聞いてくれましたと言いたげな視線を向けられる。
< 46 / 63 >

この作品をシェア

pagetop