冷徹狼陛下の子を授かりました!

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 皇帝陛下生誕祭――

 帝国中から一年に一度、貴族達が皇城へ集合する。誰もが派手に着飾り見栄を張っていた。

 ある者はいかにして皇帝陛下に近づくかを企み、ある者はどうやって身分のある貴族に顔を売るかを考えている。煌びやかな裏ではドロドロとした世界が広がっていた。

 エドワードとマリアの乗る馬車も皇城へ到着する。

 今日のマリアは結婚式より数倍輝いていた。それは、ブルネリア家から解放されて充実した日々を過ごし、レオンをはじめ城中の人から慕われているからに違いない。エドワードとの蜜月もマリアを少女から大人の女性へと成長させていた。

 一旦、門の前で馬車が止まる。

「失礼ですがお名前をお願いいたします」
「ウルフリア王国、エドワード陛下とマリア王妃。そしてわたくし側近のマテオと申します」

 馬車の外ではマテオが門番へ名乗っている。
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