冷徹狼陛下の子を授かりました！
　二人の乗る馬車の順番が来て、そとから扉が開かれる。

　エドワードが降りた瞬間に周囲の注目を集め、感嘆と戦慄の様子が伺えた。

「エドワード陛下よ……目を合わせてはダメよ」
「はぁ、イケメン。素敵ね」

　周囲の反応は様々で、聞こえていないと思っているのかヒソヒソと囁かれている。マリアには聞こえていないが、狼族のエドワードの耳にはしっかりと届いていた。特に害はないので放置する。

　エドワードが馬車を振り返った瞬間、辺りはシンと静まり返った。

　いつも側近のマテオと参加しているエドワードが、誰かを連れているとなると注目を集めるのも無理はない。冷徹と言われているエドワードのパートナーに視線が集まる。

　エドワードが政略結婚したことは、結婚式の出席者から噂で聞いていても、にわかには信じられない人々が多かった。政略結婚でお飾りの妻をパーティーに同伴することはないと、勝手に決めつけている。

　それが、皇帝陛下の生誕祭に同伴するとなると話は変わるのだ。

　マリアが馬車から姿を現すと、あまりの美しさに周囲は感嘆の息を飲む。
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