冷徹狼陛下の子を授かりました!
 そして次の瞬間、エドワードがマリアに手を差し伸べた。

「きゃあ!」「ゴクッ」「ウソだろ……」

 周囲の人達から様々な言葉が飛び交う。

 驚いているのは、周囲の人達だけでなくマリアもだ。エドワードから手を出されて戸惑ってしまう。でも、エドワードの好意を無下にしないためにも、そっと手を重ねた。

 その瞬間――
 
『堂々としてろ』
「え……」

 エドワードから心の声が聞こえた。心の声というよりは、心に語り掛けていると言った方がしっくりくる。マリアがエドワードに視線を向けても、平然としていていつもの冷徹な表情は変わらない。ぶっきらぼうな言葉だが、どこか温かみを感じた。

『ほら、早く俺の腕を掴め』
「は、はい!」

 思わず答えてしまったが、周囲には変な目で見られた。恥ずかしくなって下を向いてしまう。
< 51 / 63 >

この作品をシェア

pagetop