冷徹狼陛下の子を授かりました!
『バカだな。ほら、下を向いてないで背筋を伸ばして自信を持て』
「……」

 マリアが心の声が読めるのを知っていたということか……

 いつから? どうして? 次々と疑問は浮かぶものの、今聞くべきでないことは理解している。

 エドワードがパートナー同伴で来ただけでも、すでに周囲の話題の的なのに、服装もお揃いと思われるコーディネートで目立っていた。

 ブルーを基調とした光沢のある正装の二人は、まるで童話の中の王子様とお姫様。

「ママ、お姫様がいるね」
「そうね。お綺麗ね」

 どこからか母子の会話が聞こえる。マリアも本来なら、子供の頃から来てたであろう場所。でも、ブルネリア家の一員として出席しなくて良かったと心底思った。

 そこへ聞きなれた、嫌に二度と聞きたくない声が聞こえてくる。

「お母様! 信じられない! マリアがいるわ」
「まあ、どういうこと? 私達に恥をかかせに来たの?」
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