冷徹狼陛下の子を授かりました!
 父がぺこぺこと謝っている隣で、義母と義妹はマリアを睨んでいる。

「ふんっ、その態度で謝られても」

 エドワードが、マリアを睨んでいる二人へと視線を向けた。すると二人は慌てて下を向く。

「今日は、どういう集まりか知ってるな?」

 皇帝が、パーティー出席者全員に問いかけた。だれもが顔色を青くして頷いている。

「それでも、私の愛する妻を侮辱する者は許せません」

 エドワードの言葉に一番驚いているのはマリアだ。隣にいるのは、本物のエドワードなのだろうか……と戸惑う。

「わかった。別室を用意するから話し合ってくれ。他の者はせっかく祝いに来てくれたパーティーだ。楽しんでくれ」

 皇帝の一言で、シンと静まり返っていたパーティー会場に再び音楽が流れだす。今の不穏な出来事がなかったかのようだ。

 そして、ブルネリア伯爵一家と別室で対峙することになる。
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