冷徹狼陛下の子を授かりました!

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 皇城の応接室――

 使用人に案内されて部屋へ入った途端、義母と義妹は部屋の豪華さに大興奮だ。自分達がなぜここへ来たのか忘れてしまったかのようにはしゃいでいる。

「お母様、見てみて~」
「まあ、素敵ね」

 部屋の装飾品を勝手に物色していた。

「ゴホンッ。なぜここへ来たのか忘れたのですか?」

 呆れた様子のマテオからの言葉に、父がすぐさま二人を注意する。

「お前達、ソファへ座りなさい」
「はぁ~い」

 不満そうな返事をして、渋々といった様子の二人は、ふんぞり返って足を組んで座った。マリアはエドワードを前にして、上座へ当たり前のように座った元家族の態度が恥ずかしい。思わず手で顔を覆ってしまうほどだ。

『座ろう』

 マリアが居た堪れない思いでいたところに、エドワードから心の言葉が聞こえる。
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