冷徹狼陛下の子を授かりました!
 マリアの手を優しく握り、対面のソファへと並んで腰を掛けた。エドワードの手が、大丈夫だと言ってくれてるようで安心する。

「お母様、こんなにイケメンなら私が結婚したら良かったわ」
「私は反対よ。可愛い娘を狼の嫁になんてゴメンだわ」

 声を潜めて話しているつもりかもしれないが、二人の会話は全員に丸聞こえだ。

「フンッ」

 エドワードから、呆れのため息が漏れる。

「そろそろよろしいですか?」
「はあ……」

 皇帝陛下の前と違い、父親からは緊張感がなくなり態度も一気に悪くなった。傲慢で強かだと理解していても、ここまで非常識だと思っていなかったマリアはショックを受ける。

「まずは謝罪していただきましょうか?」
「「「……」」」

 マテオの言葉に三人揃って不満気な顔をしている。
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