冷徹狼陛下の子を授かりました!
「私達は家族だ! 他人にごちゃごちゃ言われたくないな」
「家族? どなたがですか?」
「マリアに決まってるだろう!」
「家族……面白いことを仰いますね」
「なんだと?」

 冷静なマテオと、興奮状態の父との温度差が面白い。実家にいる時は、父の態度や言葉が浅はかだと気づかなかったが、冷静にみると威厳もなかった。なぜ、父の存在に恐れていたのかわからない。

「マリア様は、エドワード陛下と結婚して王妃となられました。伯爵家とは格が違います」
「なんだと?」
「娘だと言うなら、なぜ結婚式に出席されなかったのでしょう?」
「それは!」

 痛いところを突かれて言葉が続かない。嫁がせて厄介払いをしたはずが、完全に立場が逆になってしまった。

「そちらが、マリア様を邪魔者扱いしていただいたお陰で、ウルフリア王国は安泰です。ありがとうございます」
< 58 / 63 >

この作品をシェア

pagetop