冷徹狼陛下の子を授かりました!
「今さら結婚をなかったことにできないからな!」
「フンッ」
「若造が偉そうに!」

 エドワードに鼻で笑われたことが気に食わずに、父は強気に噛みつく。

「マテオ」
「はい」

 エドワードに呼ばれたマテオは、応接室の窓際へ歩いて行き、一気にカーテンを開けた。

 窓の外には大きな満月――

 そう今宵は満月の夜だった。満月を見ても冷静なエドワード。

 ところがエドワードでなく、マリアに驚くべきことが起こる。

 満月に照らされたマリアのお腹が、ほのかに光を放っていた。

「……」
「どういうことだ?」
「「何?」」

 驚いて言葉の出ないマリアと、訝しげな表情の父、疑問顔の義母と義妹。

「マリア様は、エドワード陛下の子供を妊娠されています」
「ええっ!」
「はあ? そんなバカな!」
「「出来損ないじゃなかったの?」」
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