冷徹狼陛下の子を授かりました!
 マリアは驚き、父と義母と義妹は信じられないという表情だ。

「で? 伯爵の仰るマリア様の秘密とは?」
「……」

 不妊症であることを暴露しようとしていたが、まさかの妊娠の事実。頭が追いついていない。

「マリア王妃にお祝いの言葉もないのでしょうか?」
「……お、おめでとう」
「そちらのお二人は?」
「フンッ、なんで私がマリアへお祝いを言わなきゃならないの? 不妊症のはずでしょ?」

 父親は今後のことを必死に頭で計算して、なんとか言葉を紡いだ。

 ところが義妹は、マリアが不妊症で罵られて捨てられる最悪の展開を思い描いていただけに、到底納得ができない。

「陛下、ここに長居しているとマリア様のお身体にさわります。そろそろ」
「ああ」

 エドワードは、マリアとお腹の子を守るように、優しく腰を抱いた。
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