冷徹狼陛下の子を授かりました!
「あのっ!  マリアのお腹の子は私の孫に当たるということで!」
「何が言いたいのですか?」

 マテオはこの後の言葉が予想できるだけに、笑いが込上げる。どこまでも身勝手な男だ。

「これからは友好関係を……」
「お断りします」
「え……」

 言葉を遮られたうえに、あっさりと断られるとは思っていなかったらしい。

「なんで? なんでマリアが幸せになるの!」

 義妹が納得いかないとばかりに、マリアに近づいてくる。

「いい加減にしろ!」

 腹の底から唸るような冷徹な声が応接室に響いた。

「ひぃぃ」

 あまりの恐ろしさに、義妹は尻もちをついて倒れる。

 その姿を一瞥して、エドワードはマリアと歩き去る。その後を追いかけるマテオが応接室を出る瞬間、怯えているブルネリア家に向かって言葉を投げかけた。
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