冷徹狼陛下の子を授かりました!
「え⁉ もしかして狼の子⁇」
「はい。レオン様は陛下の甥っ子に当たります。まだ何もお聞きになってないんですね……」
「ここへ着いてすぐにドレスに着替えて結婚式だったので」
「そうですよね。私がどこまでお話していいのかわかりませんので、陛下のところへご案内します」
「お願いします……」

 結婚式が終わって一人ポツンと大広間に残されて、まだドレスを着たままのマリア。大きな城の割には少ない使用人達はバタバタと忙しそうで声を掛けられなかった。

 使用人がマリアの腕からレオンを抱き上げようとしても、レオンが離れようとしない。

「……。レオン様が自ら大人しく抱かれるなんて。すみませんが、そのままついて来ていただけますか?」
「はい」

 伯爵家で虐げられて育ちいつもひとりぼっちだったマリアは、腕の中で気持ち良さそうに抱かれているレオンの存在が愛しくて仕方ない。しかも、恐れていたウルフリア王国で、こんなに可愛い出会いがあるとは思っていなかったのだ。

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