白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
 とまあそんな経緯があってね、結局わたしはロイパーティーに加入することになったの。
 ダンジョンからの帰り道、ハットリにロイさんたちとの出会いを語り、最後にそう締めくくった。
 
 横で聞いていたエルさんも頷いたり、わたしの記憶違いを訂正してくれたりしていたけれど、金貨をネコババするつもりなんて毛頭なかったというエルさんの主張が正しいかは疑わしい。
「いや、待て。最後のほう話が飛びすぎてないか? レジャー施設の乗り物になったくまーを見咎められて、そっからどうなったんだ?」
「ふふっ、それはまた今度ね。だって夕食の時間だからわたし帰らないと」
 もう時間が無いから、今日はここまでだ。
 
「お疲れさまでした。エルさん、明日の話し合いで最下層のボスの討伐日程が決まるかもしれないんで、そのときはビアンカさんに言づけますね」
「うん、ありがとう。じゃあまたね」
 エルさんが笑顔でうなずく。
 
「あの光景、なかなか慣れないんすけど」
「あははっ、そのうち慣れるよ」
 
 土にボコボコと沈んでいくわたしを指さして、ハットリとエルさんがそんな会話をしているのが聞こえたが、わたしはそれよりも、その直前に自分が発した言葉に引っかかるものを感じて、その正体が何なのかを考えていた。
 エルさんがサイクロプスの討伐に参加できるか否かが気になっている……わけでもないし、話し合いの時間は午後からにしてもらったから問題なく出席できるはずだ。
 
 場所は、冒険者協会本部の会議室で———! わかった!
 答えに辿り着いたと同時に、自宅の図書室に到着していた。
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