白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
今頃、旦那様が会長室にいないわたしを探しているかもしれない。
急がないと!
酒場から駆け出したものの、途中で失速してしまった。
ロイさんが自ら登録を抹消していたなんて知らなかった。
どうしてジークさんは知っていたんだろう。
とぼとぼ広場まで歩き、空いているベンチに腰を下ろすと立ち上がれなくなった。
話し合いを上手くまとめられなかったことも、ロイさんが冒険者を辞めてしまったことも、どちらもショックが大きい。
もしかすると最後の最後にロイさんが来てくれるかも!っていう淡い期待を抱いていたのは、何だったのか。
わたしも冒険者を辞めてしまおうかな……。
そう思ってうつむいた時だった。
「ヴィクトリア?」
後ろからわたしを呼ぶ声がして、顔を上げて振り向くと旦那様が立っていた。
しまった!
ロイさんのことで感傷的になっている場合じゃなかった。
旦那様のことを忘れていたわ!
「すぐ見つかってよかった。部屋にいなかったから探したんだよ?」
旦那様がわたしの横に腰を下ろして顔を覗き込んでくる。
「申し訳ありません」
あなたの存在を忘れていました——そこまではさすがに言わないけれど。
「いや、こちらこそすまなかった。あっさり終わるはずの会合が長引いてしまって、暇つぶしに外へ出たんだろう?迷子にでもなったのか? 泣きそうな顔をしている」
謝らないでください。会合が長引いたのはわたしのせいです。おまけに何度も旦那様に助けていただきました。ありがとうございます。泣きそうなのはあなたとは全く関係ない理由です——正直にそう言えたらいいのに、言えるはずもない。
旦那様がわたしの肩を抱いて引き寄せ、大きな手でわたしの頭をポンポンと撫でる。
急がないと!
酒場から駆け出したものの、途中で失速してしまった。
ロイさんが自ら登録を抹消していたなんて知らなかった。
どうしてジークさんは知っていたんだろう。
とぼとぼ広場まで歩き、空いているベンチに腰を下ろすと立ち上がれなくなった。
話し合いを上手くまとめられなかったことも、ロイさんが冒険者を辞めてしまったことも、どちらもショックが大きい。
もしかすると最後の最後にロイさんが来てくれるかも!っていう淡い期待を抱いていたのは、何だったのか。
わたしも冒険者を辞めてしまおうかな……。
そう思ってうつむいた時だった。
「ヴィクトリア?」
後ろからわたしを呼ぶ声がして、顔を上げて振り向くと旦那様が立っていた。
しまった!
ロイさんのことで感傷的になっている場合じゃなかった。
旦那様のことを忘れていたわ!
「すぐ見つかってよかった。部屋にいなかったから探したんだよ?」
旦那様がわたしの横に腰を下ろして顔を覗き込んでくる。
「申し訳ありません」
あなたの存在を忘れていました——そこまではさすがに言わないけれど。
「いや、こちらこそすまなかった。あっさり終わるはずの会合が長引いてしまって、暇つぶしに外へ出たんだろう?迷子にでもなったのか? 泣きそうな顔をしている」
謝らないでください。会合が長引いたのはわたしのせいです。おまけに何度も旦那様に助けていただきました。ありがとうございます。泣きそうなのはあなたとは全く関係ない理由です——正直にそう言えたらいいのに、言えるはずもない。
旦那様がわたしの肩を抱いて引き寄せ、大きな手でわたしの頭をポンポンと撫でる。