一ノ瀬くんの恋愛事情。
プロローグ
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みんなの憧れの的である男の子。
女の子たちはその人にメロメロで、何人もの子がその人を想っている。
───一ノ瀬千景くん。
この学年のいちばんのモテ男子。
「水無瀬さん、おれと付き合ってください」
そんな人が、こんな地味女子に告白している。
私はカッと顔が熱くなって、だけどそれと同時に青ざめて、震える唇を開いて言った。
「ご、ごめんなさい……っ!」
一ノ瀬くんから逃げるようにその場を駆け出し、私は後ろを振り返らずに走り続ける。
この時の私は思いも寄らなかった。
告白を断ったことで、一ノ瀬くんの心の奥底にあった執着心に火をつけてしまったなんて───。
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