メールチェッカー 【2】
「いや、返信しないのではなく……」
「来てないとでも言うのか?私の送信の仕方が悪いとでも?」
「そうではありませんが……」
「君の操作か、君の携帯が悪いんだろう?
こんなことを言いたくはないが……以前の部署では、削除して見ていないふりをしているという人間もいたからな。
その時の言い訳は確か『来ていません』だったが。
……まさか君は、そういった類ではないと信じたいがね」
部長の顔には、みるみるうちに不機嫌の色が広がった。
「そんなことを言うのなら、試しにこの場で今、送信してみようじゃないか」
自分のせいではないと言いたいのか、部長は言い終わらないうちに携帯の操作を始めた。
年齢に似合わず、素早いキータッチでメールを作り上げると、すぐに送信ボタンを押した。