メールチェッカー 【2】
「おっ、今日は鍋か!いいにおいだな」
帰宅するなり、コートも脱がずに和輝はキッチンへと足を踏み入れた。
「おかえり。お腹空いたでしょう。すぐ食べられるよ」
「今日は昼飯がおにぎりだけだから腹ペコだよ。
ああ、一気に腹が減ってきた。
鍋だったら、一緒にビールも飲みたいな」
和輝は仕事が多忙で、昼食が摂れないことも日常茶飯事だ。
だから、自分が来ている時は、お腹いっぱい食べてもらいたいと思っている。
「だろうと思って、おっきいの買ってありまーす!」
じゃーん、と得意げに500ml缶のビールを差し出す環。
嬉しさの余り頬が赤く染まる。
「さすが!」
ネクタイを外しながら、和輝はぐっと親指を立てて見せた。
笑うと目がなくなるその表情が、たまらなく好きだ。