メールチェッカー 【2】
環は、転職したのを機にマイカー通勤をやめた。
慣れないバス通勤は苦痛で仕方がなかったが、あることがきっかけで憂鬱が一気に楽しみへと変化を遂げる。
同じバス停で毎朝顔を合わせる和輝。
挨拶を交わした時の印象がとても爽やかで、環はすぐに好感を持った。
その後は世間話を交わすつき合いになり、立ち話がお茶になり、お茶が食事になり……とよくあるパターンで順調に深い関係へと発展した。
家も近いし、本当はもっともっとここに通って身の回りのことをしてあげたい。
食事も、同じものばかりでは栄養が偏ってしまうのも気になる。
だが、毎日最終のバスで帰宅するという話を聞いて、気を遣わせない方がよっぽど和輝の為なのだと考えた。
そんな環の気持ちを理解してくれているのか、和輝は毎日どんなに忙しくても寝る前のメールを欠かさず送ってくれる。
時には布団の中でそれを待つほど帰宅が遅いこともあるが、環は全く苦にならなかった。
和輝の中に自分がいる。
それが嬉しかった。