メールチェッカー 【2】
「和輝……あたしね、結婚したら小さくていいから庭のある家に住みたいんだ」
幼い頃、どこかで見た風景。
青々とした芝生と白い柵、青空の下で風になびく洗濯物を見つめながらゆっくり流れる雲を見つめる――。
いつからか頭の中に描いている、小さな夢だ。
腕枕に抱かれたまま、環は上目使いで見つめた。
「庭か。……実際、欲しくてもなかなか簡単には行かないよな」
和輝は苦笑いを浮かべる。
その様子に環は慌てて首を振った。
「ううん。すぐじゃないの、いずれでいいんだ。
庭で大きな白い犬を飼って、小さくてかわいいガーデニングを施して。
あくまで夢よ――実際はそんなことよりも、好きな人と一緒に居られることが幸せなんだけどね」