メールチェッカー 【2】
反対に、環は顔がこわばったまま目線だけをゆっくりと移動させた。
『環と結婚する人――』
その客観的な口ぶりに、和輝の心の中が見えた気がしたのだ。
和輝は“その人”ではないのだろうか――。
それとも、希望はありながらも、不確定な将来は口にしないだけ?
……それならば、むしろ口にして欲しかった。
幸せの頂点から背中を押され、一気に突き落とされた気がした。
話が途切れ、和輝はいつの間にかスースーと小さな寝息を立てていた。
腕枕をすり抜け、環は窓際のソファに膝を抱えて座ると、カーテンの隙間から見える冬の夜空をぼんやりと眺めた。