メールチェッカー 【2】
「今度の土日で久しぶりに実家に帰ってくるよ」
テーブルの上の郵便物を片付けていた手を止め、和輝が言った。
つき合いを始めて半年になるが、帰省をするのは初めてのことだ。
和輝の実家は横浜だと聞いたことがある。
あまり、自分の身の上のことを話さないのでそれ以上はよく知らないが、転勤でこの地に来るまで、横浜での生活だったらしい。
ここからは新幹線で三時間の距離。
だが、とても遠いところに行ってしまうような気がした。
物理的距離より、精神的に距離ができる、そんな不安に襲われたのだ。
環は、言いようのない切なさに襲われた。
「寂しいな……」
あまり弱音を吐かない環がそんな言葉を口にするのは、実に珍しいことだった。