メールチェッカー 【2】
普段、週末は日曜に会うことが多い二人。
ウイークデーの疲れを土曜にゆっくり癒してもらいたい環がそう提案したのだ。
帰省するにあたり、今度の日曜に会えなくなるのも残念だ。
でもそれ以上に、自分の知らない場所へ行ってしまう、そのことがやけに胸を締め付ける。
それ以上何も言わない環を、和輝はそっと抱き寄せて優しく包んだ。
「ごめんな。ちゃんとメールするから」
たかだが実家に帰省するだけなのに。
和輝がなんだかもうここに帰ってこないような気すらして、環の頬に涙が伝う。
こんな気持ちになるのは、先日の和輝の言葉が尾を引いているのだとわかっていた。
――馬鹿みたい、和輝は深い意味なんて持たずに口にしただけかもしれないのに。
気付かれぬよう指でそっと涙を拭うと、できるだけ明るい声を出した。
「わかった。気を付けて行ってきてね」