メールチェッカー 【2】
和輝が帰省した土曜の夜、珍しく環の方からメールを送信した。
夜八時を過ぎても一向に鳴らない携帯に、とうとう我慢できなくなってしまったのだ。
『無事に着いた?今頃、久しぶりの家族団らん、楽しんでるかな?』
和輝の負担にならないような、軽い文面を心がけたつもりだ。
寂しさで押しつぶされそうな環には、そうすることが精一杯の思いやりだった。
テレビも音楽も消えた部屋で、携帯を手にしたままひたすら返事を待った。
ところが、待てど暮らせど携帯は鳴らない。
――こんなこと、今までは一度もなかった。
何かあったんだろうか……。
だが、特に事故や事件のニュースもなかったはずだ。
となれば、どうしても頭に浮かぶのは女の影。
和輝に限って……そんなこと。
あるわけがない。
ないと、信じている――信じたいよ。