吾輩は幽霊である。
 「おいおい、お前は何をしておるのじゃ?」 聞いているのだが男は何も答えない。
振り向きすらもしないのだからだんだんとイライラしてくるんじゃが、、、。
 そいつの肩越しに伺ってみると、、、。 なあんだ、シケモクを懸命に吹かしておったのか。
何だか覗いてみるだけ損をした気分じゃ。 幽霊がこんなんでどうするな?
 田舎の夜中は本当に気味が悪い。 吾輩でもそうなのだから人間どもは耐えられんじゃろう。
サワサワと葉っぱが擦れ合う音がする。 一つ目小僧でも出てきそうじゃな。
 月夜の晩に鶴と亀が滑って転んでケガをするんじゃ。 そしたら何かが見える。
それはいったい何じゃろうなあ? 見てみたいとも思わんのだが、、、。
 吾輩が生きておった頃、そりゃあもう大変だったよ。 毎日が野良仕事じゃった。
明けても暮れても田んぼしか用事が無いんじゃ。 それくらいに必死だったのじゃ。
 たまに休みをと思うがな、手を抜けば野菜だって何だって育ちが悪くなる。 お子と同じじゃよ。
お子も声を掛けて教えることを教えて自分でやれるようになるまで見守るんじゃ。 それが出来んとお子は道を外れるでなあ。
 吾輩も子の時は喧しく言われたもんじゃ。 人様に迷惑だけは掛けたらあかんぜよ。
挨拶と礼儀だけは忘れたらいかん。 礼儀を忘れたら人間じゃなくなるんじゃ。
 「じゃあ礼儀を忘れたら妖怪にでもなるのかのう?」 そう聞いたら分からんと言われた。
そりゃあそうじゃ。 人間様にそこまでは分からんわ。
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