さみしがりやは、だぁれ?
―――
――



「あれ?」


目を開けると、彼女以外、誰も教室にいなかった。

いつの間に授業が終わったんだろう。
それに、いつの間に夕方になったの?


「私、そんなに寝てたのかな?
それならそうと、誰が起こしてくれてもいいじゃん」


独り言を言った時。
後ろから視線を感じた。

え?、と言う前に。
後ろを振り向く前に。

「ねえ」と、声をかけられた。


「私のこと、呼んだ?」


振り向くと、知らない人物が立っている。顔には、薄気味悪い笑みが張り付いていた。


「はぁ?別に呼んでないっての」
「ううん、呼んだよ」

「しつこいな。だから呼んで、」
「〝さみこちゃん〟って、言ったじゃない」


あ――と、彼女は思った。

言った。
確かに、そう言った。

誰にも絡まれない可哀想なクラスメイトに、自分が第二の名前をつけた。さみこちゃん、と。

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