さみしがりやは、だぁれ?
「ねぇ、お願い、助けてよ……!」
「……」
だけど一切合切、見なかったことにした。
カバンを持って、ドアへ近づく。
「待ちなさいよ!」
彼女の怒声に、歩く足が止まる。
彼女が矢継ぎ早に、話を続けた。
「あんた、寂しいから誰にでも話しかけるんじゃなかったの!?私、話し相手になってあげるわよ!だから私に話しかけて!助けなさいよ!」
「……」
ドアに向かった体の向きをくるりと変えてくれたから、彼女は安心した。そりゃあ、こんな状況で帰るなんて、有り得ないだろうと思って。
だけど――
「私にも、話しかける人を選ぶ権利があるから」
「……へ?」
「さよなら」
は?
え?
ちょ、待ってよ!
背中に突き刺さる混乱を、全てスルーした。
そして開けたままのドアを通り過ぎ、ピッタリ隙間なく閉める。
瞬間、耳をつんざく彼女の悲鳴。
すれ違う先生が「なんだ?」と血相を変える中。
その生徒は晴れやかな顔を浮かべ、迷うことなく帰路についた。
【さみしがりやは、だぁれ?】
完
「……」
だけど一切合切、見なかったことにした。
カバンを持って、ドアへ近づく。
「待ちなさいよ!」
彼女の怒声に、歩く足が止まる。
彼女が矢継ぎ早に、話を続けた。
「あんた、寂しいから誰にでも話しかけるんじゃなかったの!?私、話し相手になってあげるわよ!だから私に話しかけて!助けなさいよ!」
「……」
ドアに向かった体の向きをくるりと変えてくれたから、彼女は安心した。そりゃあ、こんな状況で帰るなんて、有り得ないだろうと思って。
だけど――
「私にも、話しかける人を選ぶ権利があるから」
「……へ?」
「さよなら」
は?
え?
ちょ、待ってよ!
背中に突き刺さる混乱を、全てスルーした。
そして開けたままのドアを通り過ぎ、ピッタリ隙間なく閉める。
瞬間、耳をつんざく彼女の悲鳴。
すれ違う先生が「なんだ?」と血相を変える中。
その生徒は晴れやかな顔を浮かべ、迷うことなく帰路についた。
【さみしがりやは、だぁれ?】
完