エリート海上自衛官の最上愛
前職での出来事を話したわけでもないのに、彼女がどこか心配そうなのは、芽衣の引っ越した先が横須賀だからだ。
両親を海の事故で亡くして以来、芽衣は海や船が苦手になった。
特に天気の悪い荒れた海を目にすると不安で動悸が早くなる。両親が漁に出たまま戻らなかった日のことを思い出すからだ。
幸いにして従伯母の家は内陸だったから普段は直接目にすることはなかったが、それでもテレビなどで見るたびに、目を背けてしまうのだ。
そんな芽衣が港町にいることを従伯母は心配しているのだろう。
《大丈夫だよ〜! すごくよくしてもらってて、楽しく働いてる。引っ越し、事後報告で心配かけてごめんね。おばちゃんも身体に気をつけて。帰れそうだったら一度帰るようにする》
メッセージに返信をしてから、芽衣はきっちりと閉めてある窓のカーテンを見つめた。
小中学生の頃は台風が来るだけで怯えて、布団をかぶって泣いていた芽衣が、横須賀にいるなんて、従伯母が驚き心配するのも無理はない。
さすがに今はそこまでではなくなったとはいえ、海が苦手なことには変わりないのだから。
自分でも不思議に思うけれど、今の自分にはうみかぜで働くことが必要なのだという確信がある。港町にいても気をつけていれば、それほど海を感じずに生活することができている。
両親を海の事故で亡くして以来、芽衣は海や船が苦手になった。
特に天気の悪い荒れた海を目にすると不安で動悸が早くなる。両親が漁に出たまま戻らなかった日のことを思い出すからだ。
幸いにして従伯母の家は内陸だったから普段は直接目にすることはなかったが、それでもテレビなどで見るたびに、目を背けてしまうのだ。
そんな芽衣が港町にいることを従伯母は心配しているのだろう。
《大丈夫だよ〜! すごくよくしてもらってて、楽しく働いてる。引っ越し、事後報告で心配かけてごめんね。おばちゃんも身体に気をつけて。帰れそうだったら一度帰るようにする》
メッセージに返信をしてから、芽衣はきっちりと閉めてある窓のカーテンを見つめた。
小中学生の頃は台風が来るだけで怯えて、布団をかぶって泣いていた芽衣が、横須賀にいるなんて、従伯母が驚き心配するのも無理はない。
さすがに今はそこまでではなくなったとはいえ、海が苦手なことには変わりないのだから。
自分でも不思議に思うけれど、今の自分にはうみかぜで働くことが必要なのだという確信がある。港町にいても気をつけていれば、それほど海を感じずに生活することができている。