エリート海上自衛官の最上愛
 芽衣はゴロンと横になる。身体は疲れていても、心は一日中働いたという充実感に満たされていた。

 目を閉じ今夜のうみかぜの様子を思い浮かべる。今日来たお客さんも笑顔で帰っていった。明日も皆に喜んでもらえるように頑張ろう。

 そこでふと、昼間に見た晃輝の姿が脳裏に浮かび、芽衣ははたと目を開いた。

 そういえば、どうして自分はあの時、彼におかえりなさいと言ってしまったのだろう?

 うみかぜ名物おかえりの挨拶は、気恥ずかしくてなかなか口にできなかったのに……。

 恩人であるマスターに面影が似ているのを無識のうちに感じたからだろうか?

 あるいは芽衣自身が、うみかぜに心から馴染んだから?

 マスターと同じ気持ちで客たちを迎えられるようになってきたのかもしれない。

 ——そうだとしたら嬉しいな。

 そんな温かい思いを感じながら、芽衣は再び目を閉じて、心地いい眠りに落ちていった。
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