エリート海上自衛官の最上愛
知らせ
その知らせが、マスターに入ったのは芽衣がみおの手記を読んだ二週間後のことだった。その日の朝、カーテンを開けた瞬間、芽衣の鼓動は飛び上がる。
基地にいずもの姿があったからだ。
彼が帰って来た!
昨日の夕方までは船体の姿がなかったし、夜営業にもいずも所属の隊員は来なかったから夜遅くに入港したのだろう。
すぐに芽衣は携帯を確認する。彼からのメッセージが届いでいるかと思ったのだ。けれどメッセージは届いていない。
少し落胆したけれど、これ自体は自然なこと。母港に停泊していても乗務員は常に乗船していなくてはならない。
彼が勤務中ということは十分にあり得るのだ。勤務を終えれば、ここへ来てここへ来てくれるだろう。
胸を弾ませながら、芽衣が出勤の支度をしていると、玄関のインターフォンが鳴る。
芽衣は首を傾げた。ここに住みはじめてから、人が尋ねてきたことなどほとんどない。
しかもこんな朝早くに……。
訝しみながら、覗き穴から確認すると立っているのはマスターだ。芽衣は急いでドアを開けた。
「マスター、どうしたんですか」
「ああ、芽衣ちゃん。携帯を鳴らしたんだが、出なかったから直接来てしまったよ」
顔を洗っていて気が付かなかったのだろう。
「ちょっと急ぎだったから」
そう言って彼は少し眉を寄せて深刻な表情になった。
「晃輝が怪我をして病院に運ばれたそうだ」
芽衣の鼓動がドクンと嫌な音で鳴った。身体から血の気が引いていく。
職務中に彼の身になにかあるという事態は、芽衣が一番恐れていることだ。
基地にいずもの姿があったからだ。
彼が帰って来た!
昨日の夕方までは船体の姿がなかったし、夜営業にもいずも所属の隊員は来なかったから夜遅くに入港したのだろう。
すぐに芽衣は携帯を確認する。彼からのメッセージが届いでいるかと思ったのだ。けれどメッセージは届いていない。
少し落胆したけれど、これ自体は自然なこと。母港に停泊していても乗務員は常に乗船していなくてはならない。
彼が勤務中ということは十分にあり得るのだ。勤務を終えれば、ここへ来てここへ来てくれるだろう。
胸を弾ませながら、芽衣が出勤の支度をしていると、玄関のインターフォンが鳴る。
芽衣は首を傾げた。ここに住みはじめてから、人が尋ねてきたことなどほとんどない。
しかもこんな朝早くに……。
訝しみながら、覗き穴から確認すると立っているのはマスターだ。芽衣は急いでドアを開けた。
「マスター、どうしたんですか」
「ああ、芽衣ちゃん。携帯を鳴らしたんだが、出なかったから直接来てしまったよ」
顔を洗っていて気が付かなかったのだろう。
「ちょっと急ぎだったから」
そう言って彼は少し眉を寄せて深刻な表情になった。
「晃輝が怪我をして病院に運ばれたそうだ」
芽衣の鼓動がドクンと嫌な音で鳴った。身体から血の気が引いていく。
職務中に彼の身になにかあるという事態は、芽衣が一番恐れていることだ。