エリート海上自衛官の最上愛

芽衣の決意

 バタンと少し大きな音を立てて、晃輝のマンションのドアが閉まる。その音を聞いたと同時に唇を奪われた。

「んんっ……!」

 唐突に訪れた深くて激しい触れ合いに芽衣は身体をしならせる。それを危なげなく受け止めて、彼は芽衣の中を余すことなく触れていく。

 数週間ぶりの彼の感触に体温が一気に上昇する。

 ——やっと帰ってきてくれた。おかえりなさい、ずっとあなたを待っていた。

 頭の中で聞いた声は、芽衣のものか、あるいは別の誰かなのか。

 わからないまま少し混乱しながら、彼のシャツを握りしめる。

 いつもは芽衣に触れる時、必ず言葉で確認してくれるはずの彼の性急な行動が芽衣の胸を昂らせる。

 もっと深く触れ合いたい。

 もう少しも離れたくない。

 そんな想いで頭の中がいっぱいになった。
 気が遠くなるほどの濃厚な時間から、ようやく解放された頃には芽衣の身体の力はすっかり抜け切っていた。芽衣をギュッと抱きしめて晃輝が耳に囁いた。

「ごめん……我慢できなかった」

 大きな手が優しく髪を撫でる感触に芽衣はゆっくりと目を開く。さっきほどではないけれど、彼の瞳にはまだ獰猛な色が浮かんでいる。それでもいく分落ち着いて見えた。

「私……晃輝さんに話があって……」

 少しぼんやりとしたままそう言うと、彼は頬に口づけた。

「ん。そうだったな。……部屋へ行こう」

 そう言って彼は芽衣の身体を抱き上げた。

「きゃっ!」

 突然の浮遊感に芽衣は声をあげて彼の首にしがみつく。

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