エリート海上自衛官の最上愛
「今回の航海でも、やっぱり心配でしたけど、前回の時よりは落ち着いていられたんです。晃輝さんが必ず帰ってくるって約束してくれたから」

「どこへ行っても俺は必ず君のもとへ帰ってくる」

 誓いの言葉を口にする彼に、芽衣の胸が熱くなった。

 この言葉は芽衣にとって一生のお守りとなるだろう。

 彼と歩む人生が芽衣にとっての幸せだ。その道筋がはっきりと見えたような気がした。

「私、晃輝さんを愛しています。晃輝さんと生きていきたい。晃輝さん、結婚してください」

「芽衣!」

 低くて温かな声音とともに、力強く抱きしめられる。

「愛してるよ。決心してくれてありがとう。絶対に大切にする」

 彼の背中に腕を回して、芽衣もギュッと力を込めた。

 ——やっと一緒になれた。もう絶対に離れない。

 優しく顎に触れる彼の指先にとくんと鼓動が跳ねたと同時に、優しいキスが降ってくる。

「君を一生大切にする」

 低い声音が芽衣の耳をくすぐった。

 もう一度、優しいキス。

 繰り返される触れるだけのキスに、芽衣は甘い吐息を漏らす。だんだんと、それだけではもの足りなくなってしまう。

 誘うように薄く開いた唇に、すかさず彼が侵入した。

 芽衣はそれを甘美な喜びで持って受け止める。ともに生きていくことを誓い合った後のキスは、とろけそうなほどの幸福感に満ちている。

 唇が離れたことに気がついて、ゆっくりと目を開くと、彼の腕に身を預ける芽衣を至近距離から晃輝が見下ろしていた。その瞳にどこか獰猛な色が浮かんでいることに気がついて、芽衣の鼓動がずくんと大きく音を立てた。

「あ……晃輝さ……」

< 151 / 182 >

この作品をシェア

pagetop