エリート海上自衛官の最上愛

もう待たない

「あの……、こ、晃輝さん……!」

 カーテンが引かれた少し薄暗い彼の寝室に芽衣の戸惑いの声が響く。
 芽衣を抱き上げ部屋を横切る晃輝が、芽衣の頬や額に絶え間なくキスを落としているからだ。

「なに?」

 耳を甘噛みしながらの低い声音の問いかけに、芽衣は身体を震わせる。

「あ、キ、キス……」

「……嫌?」

 彼は芽衣をベッドの上に優しく下ろす。そして自分も隣に腰を下ろした。

「芽衣、愛してるよ」

 けれど相変わらず、芽衣は腕の中に閉じ込められたまま。真っ直ぐに見つめられては抗えない。思考が溶けて自分がなにを言いたかったのかさえわからなくなってしまう。

「決心してくれてありがとう。芽衣と生きていけるのが嬉しいよ」

 そう言う彼の視線が近づいて……再び吐息を絡め合い、愛を確かめ合う。

 彼が芽衣の中を確かめるように時に優しく時に強く刺激するたびに、芽衣の体温が上昇する。

「こ、晃輝さ……んっ」

「芽衣、愛してるよ」

 このまま触れてほしいけれど、それでいいとは思えなくて、芽衣は彼のシャツ俺握り締める。

「でも私……」

「怖い?」

「怖くは……。ただ」

 汗をかいてしまっていることが気になった。そもそも今日は、朝起きて顔を洗ったところで知らせを聞いたから、そのまま急いで準備してきた。メイクもなにもしていない。

 君がほしいという言葉に、頷いたはいいけれど、今更それが気になった。

 経験のない芽衣にだってその言葉の意味くらいわかる。それには、今の自分は相応しくないのではないだろうか。

「私、汗をかいてて。マスターから連絡があったって聞いて、起きてそのまま来たから……その、メイクもしてなくて」

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