エリート海上自衛官の最上愛
「怖いことはね。ここには俺しかいないし、俺はどんな君も愛してる。恥ずかしいことはなにもない。ほら、芽衣腕を上げて愛してるよ」

 首筋に感じる彼の唇の感覚に芽衣の腕の力が抜ける。

「俺は芽衣の全部が見たい。今が昼間でよかったと思うくらいだ」

「っ……!」

 芽衣の抗議と抵抗などはものともせずに彼は芽衣の服をはいでいく。

 綺麗だ。愛してる。大丈夫。

 これだけは死守しなくてはと思うものまでも、甘い言葉と深いキスに芽衣が翻弄されているうちに、いとも簡単に奪われた。 

 あっというまに一糸まとわぬ姿にされて、芽衣は白いシーツの上で、身をよじる。恥ずかしくてたまらないのに、何かを期待しているように、呼吸が熱くなるのを感じた。

 膝立ちになった晃輝が熱を帯びた視線で見下ろしていた。

 しわひとつないシャツを乱暴に脱ぎ捨てる。普段の紳士的な行動からは想像もできないその仕草と筋肉質な彼の身体に芽衣の心臓がドキンと跳ねた。

「芽衣、綺麗だ。愛してるよ」

 大きな手と熱い唇が、緊張で力が入る芽衣の身体を少しずつほぐしていく。芽衣をこれ以上ないくらい幸せな世界へと昇らせる。
 
 彼の職務内容が、両親のことを抱える自分にとってつらいものだと気がついた時は、彼を愛するこの気持ちが怖かった。愛さなければよかったとさえ思ったけれど。

 そうではなかったと今は思う。

 彼に出会い愛したことで、本当の意味で両親の死から立ち上がることができたのだ。

 ——この愛があればなにがあっても大丈夫。

「芽衣、愛してる」

 素肌を肌を辿る彼の唇から紡ぎ出される愛の言葉。

「ずっと君が欲しかった。もう絶対に離さない」

 剥き出しの彼の欲望を聞きながら、芽衣はそれを心に深く刻み込んだ。
< 156 / 182 >

この作品をシェア

pagetop