エリート海上自衛官の最上愛
『呉基地セット4』と書いてある。呉基地が母港だという護衛艦や潜水艦の名前が書かれてあった。

「わあ、こんなのがあるんですね。金曜日のカレーは各船艦によって味が違うってマスターが言ってたの本当なんだ。楽しそう!」

 パッケージを見比べながら芽衣は言う。どんな味なのか、食べるのも楽しそうだけれど、うみかぜでのカレーの調理の際の参考にもなりそうだ。

 晃輝がにっこりと笑った。

「食べ比べができるようにとりあえずルーは米と別にしておいた」

 そう言ってそれぞれの皿をテーブルに並べていく。

「普段の航海では土産なんて買わないけど、芽衣が喜ぶんじゃないかと思って」

 テーブルにはカレーの他に、サラダや火を通した茄子やオクラなどの野菜、カツなどが並んでいる。トッピングして食べられるようにだろう。

「晃輝さんって料理もできるんですね」

 席に座り啞然としながら、芽衣は素直な感想を口にした。

「自衛官は、身の回りのことは料理も洗濯も掃除もひと通りできるように叩き込まれているからね。まあこれはレトルトを開けただけだから料理とは言えないが」

 ずらりと並ぶ香りや具材の違うカレーと、彼が準備してくれたトッピングの数々に胸が躍った。

「なにから食べようかな、朝から、なにも食べてないからお腹すいたー」

 ふふふと笑って芽衣はお腹をさすると、向かいの席に晃輝が座った。

「たくさんあるから好きなだけどうぞ」

 ふたりで手を合わせていただきますをする。四種類のカレーをトッピングを変えながら食べるのが楽しかった。四種類ということは、四人前ということだが、芽衣が食べられない分は、晃輝が食べてくれるというから安心だ。

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