一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
 その内容には芽衣も同意見だ。自衛隊は日本一と言っても過言ではないほど、上下の規律を重んじる組織なのだから。

 呼び方が変わっても客たちと芽衣との関係は良好で、芽衣としても特に困ることはない。けれどなんと言っても、晃輝が至極満足そうなのが気にかかる。

 彼は、ずば抜けて優秀な人物でかつ公平な人柄であるということも、後輩や部下たちに慕われる所以なのだ。それなのに、芽衣のことに関しては少し冷静さを欠くように思えた。

「ならいいけど……。晃輝さんはどうしても私が人気者だって思いたいみたいだけど、そんなこと全然ないんだから」

 頬を膨らませて忠告をする。結婚してから、もう何度もしたやりとりだ。

「芽衣の前でしか言わないよ。でも、俺が心配しすぎだというのはまちがってる。この前も、後輩が"芽衣がうみかぜに来たばかりの頃、芽衣は皆の癒しだから抜け駆けはするなという掟があった"と話しているのを偶然聞いた。用心してしすぎることはない」

「そんなの、晃輝さんからかわれてるのよ」

 芽衣が答えると、晃輝がガクッと肩を落とした。

「これだから、心配なんだ……。いいか、芽衣。自衛官は上官をからかったりはしない。しかもこれは偶然耳にしたんだ」

 眉を寄せて諭すように言う彼に、なんだか芽衣はおかしくなる。胸に愛おしさが込み上げた。

 晃輝が誰よりも実直で職務に忠実なのは知っている。

 その彼の愛が、自分だけに向けられているのが嬉しかった。

「それでも心配する必要なんて全然ないよ。私は晃輝さんだけを愛しているんだもん」

 にっこりと笑ってそう言うと、彼は瞬きをして口を閉じた。

 大きな手が芽衣のうなじに差し込まれる。視線が絡み合い唇を奪われた。

 軽く触れるだけのキスは、少しずつ濃厚になっていく。大きな手が優しく芽衣の肌を辿る感覚に、芽衣の中の冷静な部分がストップをかける。

「ん……。晃輝さん、時間が……」

「まだ大丈夫。三カ月会えない分、芽衣を充電させてくれ」

 熱い吐息が耳に囁いたと同時に、シーツの上に寝かされた。 
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