エリート海上自衛官の最上愛
 今日の日替わり定食は、とんかつと唐揚げの盛り合わせに山盛りのサラダ、具沢山の味噌汁、ご飯は大盛りというボリュームだが、それでもたいていの客がおかわりするのだから驚きだ。

「日替わり定食お待たせしました」

 芽衣がほかほかといい匂いをさせる盆を客たちの前に置くと、とたんに彼らは顔をほころばせる。

「ありがとう。お、今日もうまそうだ」

「いただきます」

 ひとつ向こうの席では食事を終えた客が満足そうに腹をさすっている。

「食った食った。やっぱ久しぶりのうみかぜの食事は最高だな」

「これを食べたら帰ってきたって感じがするよな」

 その光景に、芽衣の胸は嬉しい気持ちでいっぱいになった。お腹を空かせた人たちが、美味しいものをお腹いっぱい食べて心まで満たされる。

 それを見るのが芽衣はなにより好きなのだ。手を止めて口もとに笑みを浮かべる。

「芽衣ちゃん、アジフライ定食あがったよ」
 またマスターから声がかかり、芽衣は慌ててカウンターへ戻った。
 
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