一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
「ありがとうございます」
彼が、後輩たちに慕われている理由がわかったような気がする。自分に厳しい人は人にも厳しくなりがちだ。
でもきっと彼は、相手の話をよく聞いてそれぞれの事情を考慮してアドバイスをするのだろう。こんなところに、あの若い隊員は憧れるのだろう。
「泣いてしまってすみません」
「いや……話したくないことを聞いてしまった。本当に申し訳ない」
「いえ、大丈夫です。自分でもびっくりなんですけど、お話しを聞いてもらえたら少し気が楽になりました。今まで誰にも相談できなくて……。今までの職場で積み重ねてきたことが、全部なくなっちゃって落ち込んでいたんですが、もういいやって気持ちになれました。ありがとうございます」
芽衣がぺこりと頭を下げると、晃輝が首を傾ける。そして少し間をおいて口を開いた。
「料理の仕事に関して俺は詳しく知らないから、無責任なことは言えないが、それまでの積み重ねがなくなったわけではないと思うよ。秋月さんが今まで努力してきたことは料理の腕前として残っている。さっき食べたカレーは間違いなく美味かった」
その真っ直ぐな言葉に、芽衣は目を見開いた。
「ああ見えて、親父はうみかぜで出す料理の味にはこだわってるはずだ。あそこをはじめる時知り合いに頭を下げて、老舗料亭で修業させてもらっていた。その親父が手放しで褒めるんだから」
「あ、ありがとうございます!」
芽衣は頬を染めて答えた。嬉しい気持ちで胸がいっぱいになっていく。
ホテルを辞めた時に、芽衣の自信は空っぽになってしまった。それを、うみかぜで働くことで少しずつ回復させていると思っていたけれど、なんだか一気に満タンになった気分だった。
「うみかぜは私にとって理想のお店なんです。ここで働けるのが毎日嬉しくて楽しくて。すごくありがたいんです」
思わず芽衣は大きな声になる。
晃輝が首を傾けた。
「うみかぜが?」
「はい! ちょっとつらいことがあっても、疲れていても、美味しいものをお腹いっぱい食べて、マスターとお話しして、皆さん笑顔になって帰っていかれます。こういうお店ってなかなかないですよ」
彼が、後輩たちに慕われている理由がわかったような気がする。自分に厳しい人は人にも厳しくなりがちだ。
でもきっと彼は、相手の話をよく聞いてそれぞれの事情を考慮してアドバイスをするのだろう。こんなところに、あの若い隊員は憧れるのだろう。
「泣いてしまってすみません」
「いや……話したくないことを聞いてしまった。本当に申し訳ない」
「いえ、大丈夫です。自分でもびっくりなんですけど、お話しを聞いてもらえたら少し気が楽になりました。今まで誰にも相談できなくて……。今までの職場で積み重ねてきたことが、全部なくなっちゃって落ち込んでいたんですが、もういいやって気持ちになれました。ありがとうございます」
芽衣がぺこりと頭を下げると、晃輝が首を傾ける。そして少し間をおいて口を開いた。
「料理の仕事に関して俺は詳しく知らないから、無責任なことは言えないが、それまでの積み重ねがなくなったわけではないと思うよ。秋月さんが今まで努力してきたことは料理の腕前として残っている。さっき食べたカレーは間違いなく美味かった」
その真っ直ぐな言葉に、芽衣は目を見開いた。
「ああ見えて、親父はうみかぜで出す料理の味にはこだわってるはずだ。あそこをはじめる時知り合いに頭を下げて、老舗料亭で修業させてもらっていた。その親父が手放しで褒めるんだから」
「あ、ありがとうございます!」
芽衣は頬を染めて答えた。嬉しい気持ちで胸がいっぱいになっていく。
ホテルを辞めた時に、芽衣の自信は空っぽになってしまった。それを、うみかぜで働くことで少しずつ回復させていると思っていたけれど、なんだか一気に満タンになった気分だった。
「うみかぜは私にとって理想のお店なんです。ここで働けるのが毎日嬉しくて楽しくて。すごくありがたいんです」
思わず芽衣は大きな声になる。
晃輝が首を傾けた。
「うみかぜが?」
「はい! ちょっとつらいことがあっても、疲れていても、美味しいものをお腹いっぱい食べて、マスターとお話しして、皆さん笑顔になって帰っていかれます。こういうお店ってなかなかないですよ」