エリート海上自衛官の最上愛
　本当に来てくれたのだという嬉しさで、自然と芽衣は声を弾ませた。

「芽衣、お客さん？」

　やや不機嫌な声で直哉が口を挟んだ。

「そう、マスターの息子さんなの。この間、長期演習から戻られたのよ」

　芽衣は直哉に説明をするが、なぜか彼の表情は不審そうなままだった。

「こんばんは」

　晃輝が礼儀正しく挨拶をしても「どうも」と言って軽く会釈をするだけ。そして芽衣をぐいっと引っ張って囁いた。

「芽衣お前、客に『おかえりなさい』は照れ臭くて言えないんじゃなかったのかよ」

「だってここは晃輝さんの実家だし……」

　芽衣が彼におかえりと言うことの、いったい何が不満なのかと思いながら芽衣は答える。

　すると彼は面白くなさそうな表情でいきなり芽衣の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「きゃっ！　直くん、なに？」

「また連絡する。さっきの話忘れるなよ。北海道へは一緒に帰るからな！」

　そう宣言して、坂道を入りていった。
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