エリート海上自衛官の最上愛
量だけでなく家庭的な味も評判で、寄宿舎で生活している独身者や近くの防衛大学校の学生などは、ここの定食を食べると実家に帰ったような気になれると言う者がいる。だからマスターは、彼らを「おかえり」と言って迎えるのだ。
「なら……明日からはしばらくこの忙しさですか?」
芽衣が尋ねるとマスターが頷いた。
「ああ、おそらく夜は勤務を終えた者も来るからもっと忙しくなるよ」
「じゃあ、夜の煮物は多めに準備しましょうか。肉も追加で持ってきてもらった方がいいかも」
「そうだな。それから芽衣ちゃん特性のポテトサラダも」
店が開いている時間帯は、調理はマスター、ホールは芽衣と役割分担しているが、開店前は芽衣も調理する。オムライスを食べながら頭の中であれこれ算段していると、マスターがにっこりと笑った。
「やっぱり芽衣ちゃんは頼りになるね。来てくれて本当によかったよ。明るくて元気だからお客さんたちの評判もいい。それだけでもありがたいのに、調理の腕も一流だから」
芽衣は頬を染めて首を横に振った。
「そんな……私はまだ修行中の身です」
「そんなことはないよ。もう十分ここの戦力だ。この間のお客さん、芽衣ちゃんのポテトサラダが売り切れで随分残念そうにしてたじゃないか」
ここへ来る前、芽衣は都内の三つ星ホテルの厨房で働いていた。
その経験があるからこそ、まだ働きはじめて三カ月しか経っていないのに、調理をやらせてもらえるのだ。
それでも、同じ食材同じ調理法で作っているはずなのに、マスターの優しい家庭的な味には及ばなくて愕然とする日々だ。
マスターからは、なんでもチャレンジしていいと言われてはいるが、今のところ自分として、味付けまですべてをやり、客に出していいと思えるのは、いくつかのメニューだけ。その中のひとつがポテトサラダだった。
うみかぜは夜営業もメニューは変わらない。一応酒は出すけれど隊員たちは酒を飲みにくるわけではなく、あくまでも夕食をとりにくるからだ。
「なら……明日からはしばらくこの忙しさですか?」
芽衣が尋ねるとマスターが頷いた。
「ああ、おそらく夜は勤務を終えた者も来るからもっと忙しくなるよ」
「じゃあ、夜の煮物は多めに準備しましょうか。肉も追加で持ってきてもらった方がいいかも」
「そうだな。それから芽衣ちゃん特性のポテトサラダも」
店が開いている時間帯は、調理はマスター、ホールは芽衣と役割分担しているが、開店前は芽衣も調理する。オムライスを食べながら頭の中であれこれ算段していると、マスターがにっこりと笑った。
「やっぱり芽衣ちゃんは頼りになるね。来てくれて本当によかったよ。明るくて元気だからお客さんたちの評判もいい。それだけでもありがたいのに、調理の腕も一流だから」
芽衣は頬を染めて首を横に振った。
「そんな……私はまだ修行中の身です」
「そんなことはないよ。もう十分ここの戦力だ。この間のお客さん、芽衣ちゃんのポテトサラダが売り切れで随分残念そうにしてたじゃないか」
ここへ来る前、芽衣は都内の三つ星ホテルの厨房で働いていた。
その経験があるからこそ、まだ働きはじめて三カ月しか経っていないのに、調理をやらせてもらえるのだ。
それでも、同じ食材同じ調理法で作っているはずなのに、マスターの優しい家庭的な味には及ばなくて愕然とする日々だ。
マスターからは、なんでもチャレンジしていいと言われてはいるが、今のところ自分として、味付けまですべてをやり、客に出していいと思えるのは、いくつかのメニューだけ。その中のひとつがポテトサラダだった。
うみかぜは夜営業もメニューは変わらない。一応酒は出すけれど隊員たちは酒を飲みにくるわけではなく、あくまでも夕食をとりにくるからだ。