一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
「そうなんですね……。なら煮魚は無理かな。来られる日がわかっていたら取っておくこともできますが」

 呟くと、晃輝がなにか考えているように黙り込む。しばらくして少し遠慮がちに口を開いた。

「秋月さんが迷惑でなければ、だけど。来られそうな日は、事前に連絡してもいいかな? 煮魚、取っておいてもらえる?」

 言いながら彼は、ポケットから携帯を出す。つまり連絡先を交換しようと言っているのだと気がついて、芽衣の頬が熱くなっていく。

 彼はただ煮魚を取っておいてほしいだけ、それ以上の意味はないとわかっていても鼓動がスピードを上げていくのを止めることができなかった。

 男性との連絡先の交換も、芽衣が慎重になっていた行為のひとつだが、もう警戒する気持ちはない。

「迷惑なら……」

「い、いえ、大丈夫です……! 携帯、部屋に置いたままなので、取ってきます」

 慌てて芽衣はそう言って、鍵を開けて部屋の中から携帯を取ってきた。

 そして、メッセージアプリを立ち上げる。

「えーっと。どうするんだったかな……」

 親しくなった相手と連絡先を交換することくらいよくあること。操作だって覚えているのにどうしてか、何度もやり方を間違えてしまう。
 彼にも手伝ってもらいどうにか登録を済ませる。

「じゃあまた連絡するよ。おやすみ」

「送ってくださってありがとうございました。おやすみなさい」

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