エリート海上自衛官の最上愛
それは、必然のように
メッセージ
清々しい朝の空気を感じながら、芽衣は急な坂道を上っている。足取りは軽く気分は上々だ。
さっきまでいた魚市場で、大きくて肉厚、しかも新鮮なカレイをたくさん仕入れることができたからだ。今日の煮魚定食にする分だ。
仕入れのほとんどはマスターがやっているけれど、いくつかは芽衣に任されていて、そのひとつが魚市場での分なのだ。
今まで芽衣は料理の修行はしていても食材の仕入れは任されていなかった。だから一から選ぶのは未経験。
マスターからは、失敗してもいいから自分で考えてやってごらんと言われていて、あれこれ勉強しながら奮闘中だ。
頭の上を海鳥が飛んでいくのを見上げた時、ポケットの携帯が震えた。足を止めて画面を確認すると、晃輝からのメッセージが届いていた。
《今夜、いつもの時間に行きます。よろしくお願いします》
用件のみの簡素な内容に、芽衣の胸が弾んだ。
こんなやり取りは、二、三日おきに、もう六回目。
彼は、うみかぜに来られる時だけ、こうやって芽衣に知らせてくれる。それを芽衣はマスターに伝えて煮魚定食を残しておいてもらうのだ。
晃輝は、当初の目的以外でメッセージを送ってくることはない。そんなところも素敵だなと芽衣は思っていた。
ホテル勤務時代のチーフに、仕事用に交換した連絡先に、プライベートな内容をしょっちゅう送ってこられ困惑した経験があるからだ。
芽衣は少しドキドキしながら、返信を打つ。
《了解です。お待ちしております》
芽衣からの返信もいつも同じだ。送信ボタンを押そうとして、ふと手を止めて考える。
目的以外のやり取りがないのは安心なのだが、本当のところ芽衣は少し物足りないとも感じていて……。
さっきまでいた魚市場で、大きくて肉厚、しかも新鮮なカレイをたくさん仕入れることができたからだ。今日の煮魚定食にする分だ。
仕入れのほとんどはマスターがやっているけれど、いくつかは芽衣に任されていて、そのひとつが魚市場での分なのだ。
今まで芽衣は料理の修行はしていても食材の仕入れは任されていなかった。だから一から選ぶのは未経験。
マスターからは、失敗してもいいから自分で考えてやってごらんと言われていて、あれこれ勉強しながら奮闘中だ。
頭の上を海鳥が飛んでいくのを見上げた時、ポケットの携帯が震えた。足を止めて画面を確認すると、晃輝からのメッセージが届いていた。
《今夜、いつもの時間に行きます。よろしくお願いします》
用件のみの簡素な内容に、芽衣の胸が弾んだ。
こんなやり取りは、二、三日おきに、もう六回目。
彼は、うみかぜに来られる時だけ、こうやって芽衣に知らせてくれる。それを芽衣はマスターに伝えて煮魚定食を残しておいてもらうのだ。
晃輝は、当初の目的以外でメッセージを送ってくることはない。そんなところも素敵だなと芽衣は思っていた。
ホテル勤務時代のチーフに、仕事用に交換した連絡先に、プライベートな内容をしょっちゅう送ってこられ困惑した経験があるからだ。
芽衣は少しドキドキしながら、返信を打つ。
《了解です。お待ちしております》
芽衣からの返信もいつも同じだ。送信ボタンを押そうとして、ふと手を止めて考える。
目的以外のやり取りがないのは安心なのだが、本当のところ芽衣は少し物足りないとも感じていて……。